アサヒヤ紙文具店
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パイロット 万年筆 カスタム823

Pilot Custom823

パイロット プランジャー式(P式)万年筆 カスタム823

カスタム823は、プランジャー式(=P式)というインク吸入方式を採用した万年筆です。
プランジャー吸入方式は、パイロットでは古くから手がけている吸入方式ですが、現在となっては珍しい方式となっています。
この万年筆の特長は、プランジャー式という吸入機構だけではなく、その機構部分と大容量のインクが生む重量感・安定感が15号ペン先の持ち味をより一層引き出している点でもあります。
目にも楽しいメカニズムを持ちながら、豊かな書き心地を実現した基本性能に優れた万年筆です。
筆記の様子や、ワンアクションでインクを吸い上げる、一見すると不思議な吸入方式、インキ止め機構などもぜひお楽しみください。
ご注文方法・送料などについて
写真: 万年筆 カスタム823
パイロットコーポレーション/日本製

◆ このページの表記につきまして
ページの中のインクに関する表記が、「インク」と「インキ」で2種類が混在しております。
これは、パイロットコーポレーションでのインクおよびインク関連の機構の呼称が「インキ」であるためそれを尊重し、主にパイロット製品を指すインクの表現には「インキ」を、それ以外の一般的なインクを指す場合では「インク」と表記しているものです。 ご理解を頂けましたら幸いです。


パイロット カスタム823の特徴

製品仕様
パイロット カスタム823

【パイロット カスタム823 製品仕様】
品番: FKK-3MRP 税込価格: 49,500円
ペン: 14K 15号サイズ 軸・キャップの素材: 樹脂
太さ: 最大径 15.7mm 重量: 29.5g
長さ: 収納時 148.4mm / 筆記時(キャップ含む) 約 163.5mm
インキ補充方式: プランジャー式 ペン種: 5種類
インキ吸入量: 約 1.5cc 本体色: 茶・黒・(透明)
* ノンカラー(透明)は、ペン種により、定番扱いと限定扱いの違いがございます
* 軸色、ペン種詳細は下記をご覧ください

プランジャー式 (P式) 吸入機構について
カスタム823の大きな特徴であるプランジャー吸入方式は、簡単な操作で一度にたくさんのインクを吸入できる便利なものです。
負圧を利用したユニークな吸入方式は、見た目にも興味深く、吸入操作が楽しくなります。
また、インク貯蔵部の首軸付近にはインキ止め機構があり、持ち運びの際の万が一のインク漏れを防いでいます。
これらの機構の詳細と吸入の仕組みについて、私なりにビデオを作製いたしましたので、ぜひご覧ください。
動画中で使用している液体は、見やすいようにパイロット色彩雫の「夕焼け」色のインキで着色した水を使用しています。

プレイボタンをクリックで再生が始まります。
一部、操作音・吸入時の音も入っています。


このようにして、ピストンを押し下げることにより負圧を生じさせ、それを一気に開放する時の圧力差で、大量のインクを吸入する仕組みになっています。
負圧を生じさせるスペースは、完全な真空ではないため、吸入できるインク量はタンクの60~70%程になります。
それでも、同社の他のインク供給方式と比べ、より多くのインクを貯蔵する事が可能です。
下記は、おおよその吸入量の比較です。

吸入形式 吸入量 (CC)
 カスタム823プランジャー 1.5
 プッシュ式コンバーター CON-70 1.1
 回転式コンバーター CON-50 0.5
 板バネ式コンバーター CON-20 0.5
 カートリッジインキ IRF-12S 0.9


ゆとりあるペン先と、その書き良さ
▲左から、5号・10号・15号
ペン先の比較
パイロット カスタム823のペン先には、カスタムシリーズの中で最も大きい15号サイズが使用されています。
この号数はパイロット独自の呼称であり、一般的な規格という訳ではありません。 比較のために、パイロットの5号・10号ペン先と並べてみました。
かなり、ゆったりとしたサイズである事がわかります。

▲ペン先の弾力部
ペン先の弾力部と固定部
パイロットでは、ペン先という一つのパーツ上での役割分担として、ハート穴(切り割りの根元)のあたりを境に、「固定部」と「弾力部」というふうに位置付けています。
ハート穴よりも首軸側が「固定部」、穴より先端側が「弾力部」ということになります。(右写真の緑でマークした部分)
万年筆はその構造上、筆記時の紙面とのやり取りがダイレクトに持ち手に伝わります。
ボールペンのように、芯のまわりの可動部品などを介して手に伝わる構造と異なり、力が分散する機構部分がありません。
そのため、弾力部の受け持つ役割は重要で、紙とのタッチ感や書き心地に大きく影響します。
そして、当然ですがペン先の号数(サイズ)が大きくなるほど、弾力部も大きくなります。
書き味のお好みは人それぞれですが、私の印象ではストロークの大きなサスペンションの乗り物で、自然の中をゆったりと走るような気持ち良さと安定感を感じます。
大きなペン先で、「固定部は、よりしっかりと。弾力部は、よりしなやかに」
このようなところが、15号ペン先をお薦めする第一の理由です。

個体差の少ない、実に安定した品質
意外な事ですが、ペン部分の先端に付いているペンポイント (よく、イリジウムと呼ばれます。実際には他の金属も合わせられた合金です) を製造している会社は世界に数社しかありません。
パイロットコーポレーションはその中の一社であり、ペンポイントから自社で生産・加工しています。
互いに融点の異なるペン部分とペンポイントの難しい溶接、その後の成型・切り割り・研磨・熱処理の作業工程も厳しい生産管理の下におこなわれ、最終的には人の手仕上げで研ぎを施されて出荷されています。
メーカーの想定する通常の筆記角度と筆圧に於いては、調整の必要がないレベルの高品質と、最小の個体差を維持しています。

加えまして、当店ではさらに一本一本について確実に検品をしてお届けしております。
もちろん、お客様の個人差に合わせた調整も受け賜っておりますので、末永くご愛用いただける一本に育てて行くお手伝いも、喜んでさせて頂いております。

アサヒヤ紙文具店特別仕様のペン先について
通常品のペン先は < F > < M > < B > の3種類ですが、当店の特別仕様でウェーバリー <WA> とフォルカン <FA> もご用意しております。
ウェーバリーとフォルカンは、本来カスタム743シリーズにラインナップされているペン種です。 両種とも、日本語を書くのに大変相性が良く、しなやかでとても書き心地の良いペン先です。 個人的にも、カスタム743で毎日常用して来た、愛するペン先たちです。
この素晴らしい書き味のペン先をカスタム823でも味わえたら、どんなに良いだろうか、といつも考えていました。
カスタム743も823も、ペン先の号数は同じ15号であり、物理的にはペン先の互換性はありました。

ところが、店側で差し替えを行って販売した個体は、その時点でメーカーの保証対象外となってしまいます。 これでは、せっかくお選び頂いたお客様に、後々ご迷惑をおかけしてしまう事になりかねません。
そこで、この熱い思いをメーカーにうったえ続け、なんとか特別仕様で正規品として生産をしてもらえないかどうか、交渉を続けて参りました。

その結果、時間はかかりましたが、2009年の初夏に公認を得ることが出来ました。
公認にあたっては、メーカー内部で長期間をかけての試作品の検証と同時に、パイロット製品・ナミキ製品の販売とアフターフォローに関する私共の姿勢を充分に吟味のうえ、許可を得るに至りました。
このような経緯のため、もちろん入荷後の差し替えではなく、この仕様としてメーカーで生産されて入荷するものであり、正規のメーカー保証も通常品と全く同様です。

カスタム743に比べて 3.5グラム重く、加えてインクの吸入量も多い823の自重が、しなやかなペン先の良さをさらに引き出してくれる、という予想は見事に的中しました。
素晴らしい書き心地に仕上がったこの万年筆を、ぜひ味わって頂きたいと思います。
なんと言っても、応援してくださったお客様と、熱意を理解し協力してくれたメーカーのパイロットコーポレーションに心より感謝しています。 ありがとうございます。

フォルカンのペン先 ウェーバリーのペン先
フォルカン ウェーバリー




ご注文方法・送料などについて


パイロット カスタム823        Pilot Custom823

細字~太字まで、5種類のペン種をお選び頂けます。

カラーバリエーションと各部の配色
画像をクリックすると拡大できます
透明ブラック 透明ブラウン ノンカラー
パイロット カスタム823 透明ブラック パイロット カスタム823 透明ブラウン パイロット カスタム823 ノンカラー(透明)
キャップ: 透明ブラック
胴軸: 透明ブラック
天冠: ブラック
インナーキャップ: ブラック
首軸: ブラック
尾栓: ブラック
キャップ: 透明ブラウン
胴軸: 透明ブラウン
天冠: 濃いブラウン
インナーキャップ: ブラック
首軸: 濃いブラウン
尾栓: 濃いブラウン
キャップ: 透明
胴軸: 透明
天冠: ブラック
インナーキャップ: ブラック
首軸: ブラック
尾栓: ブラック
インナーキャップとは、キャップの内側にある、インクの乾燥防止のための部品です。 写真のキャップの中に見えている黒い部分です。
キャップを閉めた時、ペン先を覆いながら首軸の先端に密着してインクの乾燥を防ぎます。 ほとんどの万年筆に採用されているものです。
そのため、キャップをしている時は、キャップが透明であってもペン先は外から見えません。



 ペン先 ・ 筆跡見本をクリックすると拡大できます
パイロット 15号ペン先 【F】 CUSTOM 823 <F>
ペン種: F
(ファイン)
細字
筆跡見本
ファインの筆跡
税込価格 49,500円
パイロット カスタム823 【透明ブラック】
数量   
パイロット カスタム823 【透明ブラウン】
数量   
パイロット カスタム823 【ノンカラー】
数量        

ノートや手帳から手紙・日記まで、用途の広い線幅のペンです。
メーカーでは やや硬めと位置付けており、ごく一般的な筆圧に対応しているので、初めてのかたでも安心してお使い頂けるタッチです。



パイロット 15号ペン先 【M】 CUSTOM 823 <M>
ペン種: M
(ミディアム)
中字
筆跡見本
ミディアムの筆跡
税込価格 49,500円
パイロット カスタム823 【透明ブラック】
数量   
パイロット カスタム823 【透明ブラウン】
数量   
パイロット カスタム823 【ノンカラー】
数量        

小さな手帳やスケジュール帳へ細かく記入する時よりも大きめの字で、手紙や一筆箋などに書く際の文字サイズに適したペン先です。
メーカーの位置付けでは、「やや硬めの中字」となっていますので、立て気味の角度で筆圧の高い方にも対応しています。



パイロット 15号ペン先 【B】 CUSTOM 823 <B>
ペン種: B
(ブロード)
太字
筆跡見本
ブロードの筆跡
税込価格 49,500円
パイロット カスタム823 【透明ブラック】
数量   
パイロット カスタム823 【透明ブラウン】
数量   
パイロット カスタム823 【ノンカラー】
数量        

Bであってもペンポイントは横に平べったいタイプではなく、丸みを帯びた形状をしていますので、縦線・横線ともに太く、堂々とした太字が書けます。
角張った部分が無いので、紙面から切り割り部分が離れて線がスキップしてしまうことが少なく、気持ち良く太字が書けます。



パイロット 15号ペン先 【WA】 CUSTOM 823 <WA>
ペン種: WA(ウェーバリー)
全方向になめらかな
軟らかめの中字
筆跡見本
ウェーバリーの筆跡
税込価格 価格未定
パイロット カスタム823 【透明ブラック】
数量   
透明ブラックは、入荷時期確認中です。

パイロット カスタム823 【透明ブラウン】
数量   
透明ブラウンは、入荷時期確認中です。

パイロット カスタム823 【ノンカラー】
数量   
ノンカラーは、入荷時期確認中です。

WA (ウェーバリー)の特徴
スプーンの腹で書く感じで、全方向に対して滑らかな書き心地です。
ペン先が反り上がっていますが、これは角度によって筆記線幅を変化させるためではなく、あくまでも書き味にこだわったための形状です。
この形状により、筆記角度を問わず滑らかさが味わえます。
ペンの調子は軟らかめの設定で、線幅はMと同等です。たいへんお薦めです。




ウェーバリーの書き心地
◆動画でお伝えしたかった点
冒頭でギザギザの線や星などを書いていますが、筆圧をかけた状態での下から上への線でのストレスの無さにご注目頂きたいと思います。
またその後の早書きでの滑らかさとインクフローの追従性も、字は下手ですが、ぜひご覧頂きたい点です。
この気持ちの良い書き心地のため、私も常用している万年筆です。
プレイボタンをクリックで再生が始まります。
   筆記音も入っています。



パイロット 15号ペン先 【FA】 CUSTOM 823 <FA>
ペン種: FA
(フォルカン)
超ソフトな毛筆タッチ
筆跡見本
フォルカンの筆跡
税込価格 価格未定
パイロット カスタム823 【透明ブラック】
数量   
透明ブラックは、入荷時期確認中です。

パイロット カスタム823 【透明ブラウン】
数量   
透明ブラウンは、入荷時期確認中です。

パイロット カスタム823 【ノンカラー】
数量   
ノンカラーは、入荷時期確認中です。

全ペン種の中で、最も軟らかいといえるペンです。
ペンポイントは細字をベースにしており、筆圧をあまりかけずに書くと細字ですが、筆圧をかけてゆくと切り割りが柔軟に開き、滑らかに太い線までが表現できます。
筆跡見本では少し大げさに表現していますが、自然な抑揚が楽しめる書き味と、毛筆のような筆跡が特徴の万年筆です。
立てて書くと、細字特有のひっかかりを感じることもありますので、やや寝かせて書くかたに向いています。
ペン先の形状は、このフォルカンだけ大きく異なっており、しなやかさを出すために工夫されたフォルムになっています。
ペン部分の刻印も、狙い通りの柔軟性を得るために飾りをなくし、必要最小限の文字の刻印のみにとどめて、不要な剛性を排除している徹底ぶりです。 その結果、とても美しいペン先を楽しめる万年筆にもなっています。


フォルカンの書き心地
◆お伝えしたかった点
細い線から太い線まで、筆圧に応じて様々な表現が可能です。
タッチはとてもしなやかで、この程度の軽い筆圧でも線に抑揚が出ているのがお分かり頂けると思います。
フォルカンは、ぜひ体験して頂きたい書き心地の万年筆です。

プレイボタンをクリックで再生が始まります。
   筆記音も入っています。





カスタム823 使用レポート  -店長 萩原より使用インプレッション-
画像をクリックすると拡大できます
程よい重量感と、使い切る喜び
▲ やや後よりのバランス
カスタム823のバランス
プランジャー吸入方式のカスタム823では、軸内に金属部品やインキ止め機構、パッキンなどを内蔵しているためか、カスタム743に比べて 3.5グラムほど重量が重くなっています。
好みの問題ではありますが、このようにある程度の自重が手伝ってくれていた方が、私の感じでは書き良く感じます。
ただし、重量のバランスはやや後になっています。
これは、後端部にある尾栓とパッキンの機構部の関係かと思われます。
キャップを尻軸にはめて筆記する場合は、写真のような位置を持つ分には、バランスが特に後に感じられることはありません。 かえって、しっくりと安定します。
もっと下の方の、首軸のあたりを持つ場合は、キャップを付けた状態ではバランスがやや後よりに感じられるかもしれません。
その場合は、キャップを尻にはめずに筆記すると良いバランスになると思います。

▲ 筆記状態での重心
およその重心位置
右の写真は、指でバランスをとったところです。
支点になっている指のところがほぼ重心位置と言えると思いますが、中心からやや後に位置しているのが分かります。 インクはいっぱいまで入れた状態です。
お持ちの万年筆で、お好きなバランスのものがございましたら、同じようにバランスをとってみて比べて頂くと、感じをつかんで頂けるかと思います。
バランスのお好みにつきましては、手の大きさや万年筆を持つ位置が上の方か下の方かで大きく変わって参ります。
また、店内でのお試し書きの際にも、手の小さな主に女性のお客様では、元々キャップを尻軸に差さないかたも多く、また男性でもキャップなしがお好きのかたもいらっしゃるので、こればかりはお好みの問題ですが、少しでもご参考になれば幸いです。

カスタム823の胴軸は、軸内がそのままインクタンクになっており、しかも透けているため、インク吸入のようすや筆記により減ってゆくインクの状態を楽しく観察することができます。
インクの減り具合がダイレクトに見えるという点は、使用上とても便利なことでもありますが、これだけ大きなスペースに吸い込んだインクを全て使い切った時には、大げさかもしれませんが一種の達成感があり、また吸入ができるという楽しみも手伝って、益々使う喜びが湧いてきます。

インクの吸入と洗浄について
よく頂くご質問で、インクの追加吸入や洗浄の件があります。
そこで、ピストンの動作や働きについて、ご説明したいと思います。
ご一読いただき、改めてビデオをご覧頂くと、いっそう分かりやすいかと思います。

カスタム823のピストンは、シンプルながらとても賢い形状をしています。
このピストンは、カップ状の形をしており、そのカップの開口部が前方を向いた形になっています。 ちょうど、クラゲのような形をしています。
そのおかげで、バックする方向(尾栓を引く方向)に動く時には、後方にある空気やインクが、カップのフチと軸の内壁の間を通過できます。
カップはゴムで出来ており、そのフチがすぼまる方向に押されるためです。
そのため、ピストンより後方(尾栓方向)にインクが残っていても、尾栓を引くことができます。

反対に、引かれたピストンが前進する時には、前方にある空気やインクを押してゆくとその圧力が高まり、カップを外側へ広げる力が生まれます。
これにより、ピストンが内壁とより密着して効果的に働き、前方の空気やインクを漏らさずに排出することができます。 そしてこの時に、背後に吸入のための負圧を生じさせます。

尾栓の押し引きとピストンの効き具合は、このような関係で動作しますため、インクを追加で吸入しようとしても、今入っているインクを排出しながら背後には負圧を生じさせて、また一気に吸入をしますので、追加にはならず入れ直しになります。
また、この操作を水で行い、繰り返すことにより内部を洗浄することができます。
私は、インクの色を変える時などでは、少ない回数で効果的に洗浄するために、何回目かで一度万年筆を振り、内部のインクを均一に薄めながら行っております。

このように文章で書くと複雑そうに感じますが、一度でも体験して頂ければすぐにお分かり頂けると思います。
一方向に働く逆止弁のような働きを、ピストンの形状でまかなっているので、トラブルも少なく、メンテナンスの必要性も最小限で、良くできた仕組みだと思います。

尾栓の開け閉めについて
ビデオでもご紹介の通り、尾栓の操作によってペン首付近にあるインキ止めが開閉する仕組みになっています。
閉めておけば、物理的にインクをせき止めておけるものです。
これにより、圧力差や衝撃などの万が一の際に、インクが漏れてしまう事を防いでいます。
インクの貯蔵量が多いということもあり、万が一のことを考えますと、安心の機構であると思います。

この機能について、お客様から、これは使用の度ごとに必ず操作をしなければいけないものなのかどうか、といったご質問をよく頂きます。
実際の私の使用状況を申しますと、携帯するとき以外は、店の中でもデスク周りでも、ほぼ開けっ放しで問題は出ていません。
栓が開いていて、ペン先からインクタンクまでがインクでつながった状態が、普通の万年筆の状態であるからかもしれません。

気を使う点として強いて挙げますと、使用状態(栓が開いている時)にうっかり尾栓を引っ張っても、引っ張れない程度の開け具合が安全かと思います。
尾栓を緩める時に、軸側のネジ山から尾栓が完全に外れる位置まで緩めたら、その後 少しだけ回転を戻してネジのひと山くらいをかけておくと安心です。
これでも、約2ミリ開くようにとのメーカーの設定はクリアできます。

実は、必要がない時に不用意に引いてしまわないよう、尾栓には2段ストッパーといって、引き始めにやや抵抗が感じられる仕組みになっています。
とはいえ、自分でうっかり引きそうになった時にはこれで思いとどまりますが、構造をご存じないかたが思い切りよく引っ張れば、引けてしまいます。
一度引いてしまうと、上でご説明した原理で、ピストンより先端方向にあるインクは排出するよりありません。
結果的には笑い話になるのですが、よく起こりがちなことです。
ネジが少しでもかかっていれば、このような事は防げます。

なぜ、私は店で開けたまま使用しているかと申しますと、うっかりして閉めたままで筆記してしまうことがあるためです。
閉めたままでも、インキ止めよりも先端方向の首軸内部などに残留しているインクで、しばらくは筆記が可能です。
しかし、そのまま筆記を続けてインクを枯らしてしまいますと、慌てて栓を開けても、正常なインクフローに戻るまでに数分を要してしまいます。
それがじれったいので、いつしか開けたままとなりました。
そんな中、店頭でお求めの際、「この面倒な儀式がまたいいんだ」 とおっしゃってくれたお客様がおられました。 とても嬉しく思いました。
かつてのインキ止め式と同様に、私も携帯時以外でも、この儀式をまた始めようかという気持ちも湧いてきました。





ご注文方法・送料などについて
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パイロット ボトルインキ    プランジャー吸入方式と相性の良い 70ml入りボトルインキ

このインクボトルには、吸入に便利なアダプターが内蔵されています。
吸入操作がとても行いやすく、最後まで無駄なく使用できる便利な
その仕組みにつきまして、後半の部分で詳しくご説明しています。
ぜひご覧ください。
画像をクリックすると拡大できます
パイロット ボトルインク INK-70 PILOT ボトルインキ (70mlタイプ)
ボトルインキ
万年筆 ・ つけペン ・ ガラスペン向き
内容量: 70ml
ボトルサイズ: 約 w70 x d55 x h81 (mm)
税込価格 1,100円/個

【カスタム823 セットボックス】
カスタム823万年筆本体と同時にご購入の場合、本体とインクがセットで入るセットボックスにてお届けいたします。 ギフトにもご利用頂けて便利です。
カスタム823 セットボックス

パイロット ボトルインキ 【ブルー】
INK-70-L
1,100円(税込)
【ブルー】
紫や赤味を感じず、爽やかなタイプのブルーです。
こってりとしたブルーではありませんが、発色が良いうえ、筆跡の濃淡も楽しめるインクです。 純白の紙にもクリームにも良く似合う色味です。
【ブルー】 の筆跡
数量  

パイロット ボトルインキ 【ブルーブラック】
INK-70-BB
1,100円(税込)
【ブルーブラック】
旧来のブルーブラックと異なり、酸度がかなり抑えられた安全なブルーブラックです。 タンニン系でなく染料で表現された色のため変色の楽しみはありませんが、染料系でありながら耐水性は優れています。
【ブルーブラック】 の筆跡
数量  

パイロット ボトルインキ 【ブラック】
INK-70-B
1,100円(税込)
【ブラック】
特に際立って真っ黒というタイプの黒ではなく、染料系の黒らしい色味と濃さです。
特定の色味がわずかに感じられたりする事もなく、ニュートラルな感じの黒です。
【ブラック】 の筆跡
数量  



ボトルインキ 使用レポート  -店長 萩原より使用インプレッション-
画像をクリックすると拡大できます
便利なアダプターの仕組みと使い方
▲ 筒状のアダプター
INK-70のアダプター
このパイロットの70mlタイプのボトルインキは、カスタム823をはじめ、他の吸入式万年筆全般において便利に使えるアダプターを内蔵しています。
このアダプターには、二つの役割りがあります。
一つには、使用が進んでインクの量が減り、液面が下がってしまった状態でも吸入に必要な深さを確保する役割りです。
もう一つの役割りは、アダプター内部の段差により首軸の沈み過ぎを防いでペンポイントがボトルの底にぶつからないようにする事です。

【アダプターの使い方】
インクが減った状態 一度逆さまにします アダプターにインクが溜まります
かなり減った状態 フタをして逆さまに アダプターに溜まります

アダプターは、底が閉じた筒でコップ状になっており、その側面には両側に穴が開けられています。
ボトルの中のインクが減ってきて、そのままではペン先が充分にインクに浸らない状態になっても、フタを閉めた状態で一度ボトルを逆さまにして、また元に戻すことにより、アダプターの中にインクが溜まり、吸入が可能になります。
これにより、よほどぎりぎりまでインクが減らない限り、終盤まで快適に吸入でき、インクを無駄なく使うことができます。
また、適度な位置に穴が開けられており、余分に汲み取られたインクはその穴から落ちるようになっていますので、必要以上に首軸を汚すことがありません。

便利な段差と、応用の際の留意点
▲ 段差の深さ
アダプターの深さ
このアダプターの内側には段差が設けてあります。
段差の所で筒がすぼまっているので、そこに万年筆の首軸が引っかかり、それより下に落ちないようになっています。
この段差のおかげで、プランジャーの尾栓を押し下げる時に、ペンポイントを底にぶつけてしまう心配がなくなります。
とはいえ、この事実はインクが少しでも残っているうちは、インクに隠れていて見て確かめるのは困難で、本当にペンポイントがアダプターの底に接触していないかどうかというのは、不安に思えるかもしれません。
そこでこの写真のように、取り出した実物で確認するのが一番かと思いました。
その結果、確かに接触していないことが見て取れますが、意外とぎりぎりであるということも分かりました。

もしも、他にお持ちの吸入式の万年筆にもこのインクをお使いになられる場合に、もっと長いペン先ですと心配がありますので、寸法を測ってみました。
アダプターの段差から底まで、25ミリとなっていました。
あくまでこの個体の実測値ですので、誤差やマイナーチェンジよる変動には注意が必要ですが、ご参考になれば幸いです。

もちろん、15号ペン先のカスタム823では間違いなく安全ですので、同様にカスタム743及び、これより小さな号数や短いペン先を持つ万年筆なら、安心してお使い頂けます。
カスタム743などに標準装備されているプッシュ式コンバーター(CON-70)も、ボタンを押す動作があるので、その際に手が滑るリスクを考えましてもこのインクボトルは便利で安心であると思います。
一度お使いになられると、空き瓶をとっておいて、お好みのインクを入れて楽しもうというお客様も多い便利なボトルインクです。





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このページの写真につきまして

アサヒヤ紙文具店とその仲間たち
お気付きのお客様も多いかもしれませんが、普段の当店ホームページの写真の品質に比べて、このページで使用の写真には、明らかにクオリティーの高い写真が含まれていると思います。
美しい光沢の万年筆やそのペンポイントには、様々なものが映り込んでしまい、途方に暮れておりましたところへ、強力な助っ人を得まして助けて頂きました。
何食わぬ顔でそのまま掲載するのは心苦しく、どこかにその件を明記しようと思いましたが、写真を生業とするそのかたのご希望で、お名前は「アサヒヤ紙文具店とその仲間たち」という形でのご紹介となりました。
それでも、鋭い「読者」のかたには分かってしまうかもしれません。
この場をお借りして、ご本人には勿論のこと、ご縁をくださった皆様にも御礼申し上げます。 ありがとうございます。


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● 商品写真の色は、実物と異なって見えることがございます。


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